挫折
シャツがべたつくある夏の夕方・・・渋谷駅。 滑り込む電車には乗らず、英単語帳を手に私は佇んでいました。 「英単語が・・・覚えられない・・・」 赤いシートは単語の意味を隠しつつ、自分の無力さを浮き彫りにしているようでした。 なんでこんなに単語が覚えられないんだろう・・・私ってこんなに英語できなかったけ? 記憶力のなさに嘆く日々が続きました。 幸い受験には合格したものの英単語帳を完遂することができずTOEFLも目標スコアには届きませんでした。
赤いシートに死刑宣告
挫折を味わってしばらくした時、ふと英検1級を受けようと思い立った私。早速過去問を見ると・・・知らない単語がずらり。初めまして感が半端ない・・・。太刀打ちできないことに気づいて英検1級を受験する人のバイブル「パス単」を購入。購入したはいいものの・・・真新しい単語帳を手に取るとあの挫折が蘇ってきました。 もう・・・あの苦行は嫌だ・・・。あまりにも嫌な状況に置かれると、人は意味の分からない行動をとります。 何を思い立ったのか赤いシートをゴミ箱にダンクし、すべての単語に対して語呂合わせ作り始めました。「ぜってー今度はやり切ってやる! てめーら全員記憶に底にぶち込んでやるわ!!」 謎の闘志を燃やして約1か月かけて英単語達の語呂合わせを作成したのでした。
「へーそうなんだ!」
語呂を作成すると不思議と覚えやすい単語がある一方、なかなか覚えられない単語がいることに気が付きます。そんな単語たちはだいたい、そもそもの意味がよく分からないし、日本語の訳もよくわからないという単語達が多いようでした。単語(囚人)のキャラ(意味)を理解できないと奴らはすぐに記憶から脱走してしまうのです。そんな単語は英和辞典を見てもやっぱりよくわかりません。そんな中、単語の意味を理解するうえで最も助けになったのは「英英辞典」でした。英英辞典を見ると日本語の意味を国語辞典で調べるのと同じく、その単語の意味や語源等が書かれています。そんな情報をみて「へーそうなんだ!」という閃きがあると、その単語を覚えやすくなることに気が付いたのです。
英単語(囚人)を「しごく!」と言う考え方
英単語帳をパラパラめくり「あー。これ初めましてじゃないけど・・・なんだっけ?」これを繰り返していると自分の記憶力が悪いと思ってきてしまいます。そんな思いに悩まされるのに嫌気がさし、私は英単語を忘れてしまうのは全部「単語が悪い」と考えるようになりました。そもそも、英単語は記憶の牢屋から脱獄する性質を持っている。だから忘れるのは自分ではなく単語のせいなのだと。なんとも自分勝手な考えですが、心の持ちようを変えると、自分を責めることはなくなり何とも気持ちが楽になりました。
「へーそうなんだ!」というひらめきや語呂があると英単語は覚えやすくなります。いわば足かせの効果があるのです。しかし、これだけでは不十分です。色々な方法を試した中で「これが一番いい!」と感じたものはいたってシンプルでした。それは「英単語→日本語」を呪文のように10回以上暗唱する(覚えにくいものは20回!)というものです。ポイントは必ず「日本語」も暗唱すること。英単語だけをブツブツと唱えるのではと覚えにくいです。淡々とこれ(英単語→日本語を呪文のように繰り返す)を繰り返すのです。私はこれを「しごき」と呼んできます。英単語が記憶の刑務所から脱走できないようにお仕置きする効果があるので「しごき」と呼ぶことにしました。1回のしごきで英単語が記憶から動かなくなれば良いのですが、そうはいきません。奴ら(英単語ども)は記憶の刑務所から脱獄を繰り返します。翌日には昨日やった単語を脱獄していないかチェック(チェックだけであれば1分間で20-30個はチェックできます)、記憶から脱走している囚人(英単語)を発見したら再度しごく!(きつめに15回くらいしごく)ということを繰り返していくと、自然と覚えていきます。そして実際に文章や音声、会話の中でその英単語に出会って理解できた時、この瞬間がある程度定着した時です。この「しごく」という考え方の一番のメリットは英単語を覚えるプロセスが苦痛ではなくなることです。
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私は英単語を学ぶにあたって今の方法にたどり着き、英検1級のパス単はおそらく全て覚えられました。1発で高得点で合格し、今は日々英語で仕事をし、The EconomistとNational Geographicを楽しみ、自分の今のレベルに飽き足らず英語力向上を図っています。私の知り合いで英語の達人だと尊敬している人が何人かいます。純ジャパで英語力を磨き、世界各国の人と英語で交渉を行う外交官、ニューヨークで長年メガバンクで働いていた英語に対する造詣が半端ないバンカーetc、私の尊敬する彼ら・彼女らに共通点が一つあります。それは、彼ら・彼女らが今も英語を学び続けていること。今このページを読んでいるあなたは英単語を覚えようと学ぶ意欲に燃えた人です。そしておそらく、英単語がなかなか覚えられなくて苦労をしているのではないでしょうか。私もそうですが、その涙は多くの人が味わってきたものです。でも、英語を学んだ先にあるあなたのSTORYはどんなものになるでしょうか? きっとワクワクするSTORYに違いありません! 少しでのあなたの人生のSTORYの役に立ちたい。 これが「ぷり単」の想いです。
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